個展の人形・その11
- 2015/11/10 20:07
- Category: works
今はまだ賑やかな熱海の砂浜も、もう少し寒くなればその風景も変わってくる。
黒いコートを着る人が増えて、寒風に耐えられずビーチを歩く人もまばらになる。
砂上を歩むその足元を確認して、顔も体もうつむきがちになる。
小さく見えるその人影を、”宮沢賢治みたいだ”と何度も思った。
彼が踏みしめて確認していたのは、農耕地であったのだけど。

『賢二さん』
できるだけフラットな質感で、白黒写真ではない人形にしたかった。
コートのボタンは賢二の好きそうなガラスのような塗装がされたボタンを使う。

あの写真の賢二の腕は、ポケットに突っ込まれているのだと思っていたけど
実際は後ろ手に組まれていた。
ぐっと組まれて膝から下の足が伸び気味になった彼の姿勢からは
ひたすらスローに土を検分する様子が伝わる。
熱海の浜を歩くとき、いつも賢二さんを思い出す。
砂の感触は靴底越しでも生きている実感が、小さな砂粒の隙間から立ちのぼってくる。
これって厳密には、賢二さんを作った人形ではないのだと思う。
*****
◯鈴木千晶個展
場所:東京/東銀座/靖山画廊
期間:11月13日(金)〜27日(金) 11時〜19時 日祝日定休
黒いコートを着る人が増えて、寒風に耐えられずビーチを歩く人もまばらになる。
砂上を歩むその足元を確認して、顔も体もうつむきがちになる。
小さく見えるその人影を、”宮沢賢治みたいだ”と何度も思った。
彼が踏みしめて確認していたのは、農耕地であったのだけど。

『賢二さん』
できるだけフラットな質感で、白黒写真ではない人形にしたかった。
コートのボタンは賢二の好きそうなガラスのような塗装がされたボタンを使う。

あの写真の賢二の腕は、ポケットに突っ込まれているのだと思っていたけど
実際は後ろ手に組まれていた。
ぐっと組まれて膝から下の足が伸び気味になった彼の姿勢からは
ひたすらスローに土を検分する様子が伝わる。
熱海の浜を歩くとき、いつも賢二さんを思い出す。
砂の感触は靴底越しでも生きている実感が、小さな砂粒の隙間から立ちのぼってくる。
これって厳密には、賢二さんを作った人形ではないのだと思う。
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◯鈴木千晶個展
場所:東京/東銀座/靖山画廊
期間:11月13日(金)〜27日(金) 11時〜19時 日祝日定休