こどものほん/3
- 2009/07/04 12:00
- Category: recommend
この本ばかりは、さすがのamazonも手配がつかないようです。

『きつねの九朗治』
こんなにわかりやすい言葉で、自然とともに生きるということの厳しさを
切々と伝える民話形式のお話は、本当に希有な存在です。
年老いたオスのキツネが、やむなく人家に食べ物を取りに行くしかない、という事情を。
そして。
そのキツネを迷わず殺した貧乏な百姓が、夫であるキツネを探しにやってきた雌狐までをも
手に掛けてしまい、その連鎖に苦悩する様を。
子どもに読み聞かせながら、私の声はすでに涙でくぐもるのを耐えることで必至でした。

両親を人間によって奪われた子狐は、その輪廻を断ち切るかのように
みずから「二度とキツネの姿には戻らない」ことを決意して、人へと変化を果たし
初志を貫徹すべく、大工修行を始めます。
生きることのかなしさと、生き続けることで得る少なくとも深い充足を
存分に教えてくれるお話で、絵空事とは言えないほどの鬼気迫る心理描写が素晴らしい。
本当によかった、とも、惜しいとも思うのが
これが廃棄予定の本であったこと。
そして、私のこどもが「すごくいいおはなしなの」と言って、持って返ってきてくれたこと。
起きる物事が全て必然だというのはエゴだと思うけど、まさかすべてが偶然ではありえない。
生きていくことは、ほんとうに大変なことだけど
こうして時折、深い幸福を得ることができる自分に
感謝と世界への畏怖を感じる瞬間は、必ずやってくることを自覚させられるのです。

『きつねの九朗治』
こんなにわかりやすい言葉で、自然とともに生きるということの厳しさを
切々と伝える民話形式のお話は、本当に希有な存在です。
年老いたオスのキツネが、やむなく人家に食べ物を取りに行くしかない、という事情を。
そして。
そのキツネを迷わず殺した貧乏な百姓が、夫であるキツネを探しにやってきた雌狐までをも
手に掛けてしまい、その連鎖に苦悩する様を。
子どもに読み聞かせながら、私の声はすでに涙でくぐもるのを耐えることで必至でした。

両親を人間によって奪われた子狐は、その輪廻を断ち切るかのように
みずから「二度とキツネの姿には戻らない」ことを決意して、人へと変化を果たし
初志を貫徹すべく、大工修行を始めます。
生きることのかなしさと、生き続けることで得る少なくとも深い充足を
存分に教えてくれるお話で、絵空事とは言えないほどの鬼気迫る心理描写が素晴らしい。
本当によかった、とも、惜しいとも思うのが
これが廃棄予定の本であったこと。
そして、私のこどもが「すごくいいおはなしなの」と言って、持って返ってきてくれたこと。
起きる物事が全て必然だというのはエゴだと思うけど、まさかすべてが偶然ではありえない。
生きていくことは、ほんとうに大変なことだけど
こうして時折、深い幸福を得ることができる自分に
感謝と世界への畏怖を感じる瞬間は、必ずやってくることを自覚させられるのです。
西呑屋おかみ
それ以前に、本を「破棄」って。ねえ、「破棄」って! どーゆーことなん!? ありえへん。
前回のも今回のも、こんなすごい絵本が、
息子さんが手を挙げなければ、むざむざ捨てられていたのかと思うとゾッとします。
それにしても、セレクトがさすがです。