引き続き、「十力の金剛石」のお人形紹介を。
王子と大臣の子が貴石の雨に降られながらたどり着いた野原は
一面の草も木も花も、そしてそれを養う黒い土すらも
鉱物でできておりました。

その美しい風景に見とれる2人ですが、その光の丘は実は寂しさと悲しみに
沈んでいました。
その生命を失った美しさに、丘のものたちは絶望していたのです。
”「十力の金剛石」が来てくれれば、甦るのに”と植物たちは訴えます。
十力の金剛石とはどんなもの?という問いに対して
あらゆる可能性を秘めた答えが返って来ますが、そのうちの1節をシーンにしています。

「十力の大宝珠はある時黒い厩肥のしめりの中に埋もれます。それから木や草のからだの中で月光いろにふるい、青白いかすかな脉をうちます。それから人の子供の苹果(リンゴ)の頬をかがやかします。」
みながその唯一ですべてである救いを求めているその時、ついに十力の金剛石は
2人の頭上に一滴ずつ、甘露となって落ちてきました。
みるみるうちに丘は生命をとりもどし、少年ふたりも甦ったように満ち足りて
大地に跪きます。


青く硬い世界から、柔らかで生気あふれる世界へ。
この変化をこぢんまりとした45cm×45cmの台の上で表現する困難を
場面転換とともに割り切っていった連作であります。
- 2007/01/25(木) 06:12:09|
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