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3年前

  • 2020/11/26 11:07
  • Category: works
『 海猫 』
kaibyo_2.jpg

ああ、このアクリルビーズパーツを猫の首に付けたいなぁ。
海のモチーフだから、海に住んでいるネコ、だな。

そう考えてビーズを買ったのが3年前だと思うのです。
その半年後に作り始めて、できあがった素体のサイズが小さすぎて
もう一度最初から作り直したんだよね、確か。

鱗用のフェルトシートを染めて幅5mmの鱗をつけて、植毛したところでまた手が止まって。
猫のシルエットが悪すぎて見るのが辛い。そうしてまた半年箱の中。

鱗を全部潰して足を延長するところから手をつけて、やっと完成しましたが
肝心のビーズは似合わなかったので使いませんでした。

kaibyo_1.jpg

もちろん、こんなことわざわざ書くほどのことではないのです。
だけど「ああ、なるほど」という共感もたまには欲しいと思うモノ。

もう売っていない毛糸や、藍染のフェルトシートや、何度も入れ直した瞳。
いっぱいある制作過程への思い出は、たぶん”愛着”と呼ぶのが一番近い。

作るということが、好きなんです。

そうだけど、あっている。

  • 2020/11/24 17:52
  • Category: works
東京で小さな分譲マンションを買ったとき、ベランダで少しハーブを育てたことがあります。
でも、なかなか上手くいかなくて。
その頃のお母さん仲間が、東向きのベランダでワサワサとグリーンを育んでいるのを見て
うーん、不器用な私はコレ(植物栽培)もダメなのかもしれないなぁ、と思いました。
誰にでも、よくある話です。

grn_1.jpg

染めがやりたくて藍を3年育ててみて、それを活動として少しは地域に還元できたと思います。
小さな子がいる仲間で、一緒に藍を染めるのは楽しかったから。

grn_3.jpg

多肉植物は、見た目の可愛さを裏切る難しさがありました。
当時この”緑の太鼓”と称される観葉植物を探しても、なかなか現物に会えなかったので
今もって未見なのです。

でも、ある日見た白昼夢に出てきました。
その夢の中の植木鉢には、とても静音な体がありました。
ドラムを作るために、たくさんの丸を切っては縫って羊毛を詰めて
その他にやるべきことは、思いつきませんでした。
そういう思いが、ここに今在るというだけの話なのです。

信念といえばふさわしいのか

  • 2020/11/23 06:58
  • Category: works
個展開催直前に、「東方の三博士」をつくりました。

『 3MAGI 』

magi_4.jpg

幼い頃に読んだ偉人伝の「イエス・キリスト」は、新薬聖書ではなく
淡々と平仮名で平易な言葉が連なった伝記小説でした。

magi_3.jpg

”世界の王が生まれる”という星の導きにより、遠方より来訪した3者。
メサイアの存在を尊ぶというよりは、学問的発見を確認するために
旅をする求道者のようで、憧れました。

magi_2.jpg

左から、バルタザール・メルキオール・カスパール。
年齢も人種も地域も違うのには理由があり、赤子のイエスに捧げる
貢物にも宗教的意味があるようです、が。

遠方より来て子供の誕生を祝い、何も求めずに帰途につくこの3人の姿が美しい。
旅する文系男子も、素敵なものです。

magi_1.jpg

会場では大きな星を目指して、絶賛旅しています。

青でなくては

  • 2020/11/22 22:00
  • Category: works
2年前の個展では、大きなハシビロコウをつくった。
今考えても、クラクラするほど先の見えない作業が続いて時間ばかりが過ぎていった。
個展会場でハシビロコウを眺めながら「次はバイソンを作ろう」とぼんやり考える。
大きくてカッコイイから。
そんな小学生みたいな気持ちしかなかったけど、色は青がいい。

『 バイソン 』

bison_1.jpg

大きさは、横が65cmくらい。
体毛は毛糸を水フェルトで束状にしてあります。

bison_2.jpg

足は鹿の革。目は木を彫って。

bison_3.jpg

みっしりと重く、青いです。

卵とは

  • 2020/11/21 20:33
  • Category: works
『 楽しい1日 』

day_3.jpg

これは毛糸だまの春号用に用意した人形なので、もうご覧になった方も
おられると思いますが。
この人形はどこに置いても強さがあるなと思ったので改めて紹介させていただきます。

day_2.jpg

何年も連載していてアレなのですが、春はやはり新しい命の季節だと思うので
いつもイースターをイメージしてしまいます。
卵、鶏、ウサギ・・・そして花。

私的には、卵といえばサルバドール・ダリ。ダリと言えば正装した頭にフランスパン、なのです。
ピンとこない方も、ぜひ画像検索でググってみてください。
今もってシュールで”いいね!”したくなること請け合いです。

day_1.jpg

パンは樹脂粘土、卵は石粉粘土でできています。
花は少し硬めの雰囲気がほしくて、本革でつくりました。
使う素材の選定は、本当に大事なことだと思います。

そして私はこのアクが強めの彼が、とても好きです。

雲と輝く夜

  • 2020/11/20 22:00
  • Category: works
熱海に住むようになってから、月というのはこんなに目立つものかと
思うようになりました。
特に波打つ海面に月の光が長く伸びて「月の道」ができたとき。
伊豆の複雑な海岸線沿いの道を車で走ると、月の道の見え方が変わって
まさにドラマティックなのです。道に高低差があると、さらに道の画角が変わります。

でもほんとは、薄曇りの月夜が一番、私の中では好ましい。  

『 淡く 』

awa_1.jpg

ぼんやりと輝く月の丸い輪郭の外側は、ファンタジックな色相を見せていて。
この色はどんな絵の具、どんな布、どの染料で染めればいいのかな?
そんなことを仕事帰りの空を眺めながら、いつも考えていました。

awa_2.jpg

その暗い空の下に在るはずの星のイメージで、デッドストックのビーズをたくさん縫い付けました。

awa_3.jpg

椿姫

  • 2020/11/18 22:00
  • Category: works
自分が人形を作っている手元を、ツイキャスで配信した回数たったの3回。
思ったよりも配信できるタイミングというかスキマが少ないのです。
その3回目に作っていた人形が、こうなりました。

『不確か』

hutashi_2.jpg

もうちょっと寄ってみます。

hutashi_1.jpg

実はあるスマホゲームをイヤというほど嗜む生活をしており、その中で使われていた楽曲からイメージしました。

「椿姫」を基にしているというその曲は、まだ悲劇的な結末を迎える前の恋を唄っていて
お互いを焼き尽くすようなごく儚い時間が、聴くたびに掌中の感触に残るような気がしました。

hutashi_3.png


この人形ができてしまうと、なぜかゲームプレイへの熱い思いは消えてしまいました。
それでも彼女がどこを見ているか、ギャラリーで視線を追っていただけると嬉しいです。

オルゴールが完成しました

  • 2019/06/22 01:10
  • Category: works
桐生のとおりゃんせさんで開催中のオルゴール展。
会期終了が迫っておりますが、現在やっと現地に飾っていただいています。
お待たせしてしまって、ほんとうにすいませんでした。

『ペニー・レイン』

penny_1.jpg

言わずと知れた、ビートルズ時代のポール・マッカートニーの名曲。
ポールの曲は、なんとなく幸せのメロディだと思う。
(ご本人がいつまでたってもリア充みたいな存在なのも、加味しまして。)

ポール・マッカートニーについて詳しいわけではないので
間違っていることはあると思うけど。

penny_3.jpg

私は英語がよくわからない。
けど、この曲の”very strange"と”blue suburban skies"センテンスは
特に耳に残る。

ポールが少年の頃、リヴァプールに行く道がペニー・レイン通りだったそうで
その街の日常風景と子供時代の甘酸っぱい記憶が歌われている。

ポールにはその風景が”奇妙”で”郊外の青い空”が懐かしい記憶みたいで。

penny_2.jpg

私は「奇妙」とか「神秘的」という言葉に、大人になってから構えるようになった。
それは対象をよく知らない、知ろうとしない無邪気な言葉に過ぎないのかな、と。

彼にとってペニー・レインという景色は深追いしない、旅人のような思い出で
それは世界的に活躍したスターとして、何も間違っていない。
生きているけど昔から形が変わらないように見えるものが、今の彼の礎になっている。
もう、そこには戻らない。

penny_7.jpg

人は原罪を持って生まれてくるのがある宗教の根本なのだとしたら
私は生まれてから罪のリンゴを食み続けて成長するのが人だと思う。

そんなかんじで、どうにかこうにか仕上げたオルゴールです。



【個展新作】芽覚め

  • 2018/09/27 19:21
  • Category: works
ふわふわとした、夢のようなもの。
起きているのか寝ているのか、わからない。
そういうときに、ふと瞼の裏側に浮かび上がるものがある。

慌ててイメージをコピー用紙やら小さなメモ紙に描く。
とても稚拙なそれは、具体性とはかけ離れている。

白っぽい樹皮と緑の中で眠る子どもの姿。
その落書きは、現実に作り始めると目を閉じた者ではなく
今まさに目覚めた何かになっていた。

mezame_1.jpg

これから、ここから。
いつだって、そう。

自分のこどもが大きくなるにつれ、彼が小さな頃というよりは
胎内にいた時を想う。
根本的につながって、その愛しさが自分に寄生する者からくるということを
初めて知った10ヶ月。
以来毎日、17年間その子の寝顔と起床を見守ってきた。
こどもから芽吹く若葉は、日々絶えることがない。

mezame_2.jpg

その子が「おもしろいね」「いいね」と言いながら撮ってくれた写真。

たまたま私が写真を撮っていたところに帰宅した息子が居合わせて
とても遠慮がちに、でも羨ましそうな視線を送ってきたから
「あんたも撮ってみる?」と尋ねただけのこと。
それだけのことだけど。
今回の個展のDMも、息子が大好きな人がプレゼントしてくれたカメラで
撮影したものです。

私だったら、高価なカメラとレンズを人にあげることはなかっただろう。
いろんな人に支えられて生きている彼だけど
これからも守ってあげたい。
とてもさりげなく、そっとね。
人というのはとても、自由ないきものだから。

【個展新作】火球

  • 2018/09/27 00:51
  • Category: works
私は毎月、名古屋と大阪へ出張講座で出向いています。
早く陽が沈んでしまう冬は別ですが、それ以外のときのこと。

名古屋から大阪へ向かう新幹線の車窓で、いつも出会う風景があります。
山で形成される熱海とは違って、水平な地形に浮かぶ夕暮れ時の田園風景。
その日没に現れる神聖な何か。

kakyu_3.jpg

その姿を一度見たときから、取り憑かれたように
毎月その色や姿を追う自分がいました。
月に一度しか、見る機会が無いその光景に。

kakyu_1.jpg

薄暮の季節は、とても短い。天候にも大きく左右される。
同じ景色など見ることはないのは、理解できている。
だけれども。

kakyu_2.jpg

安穏たる日々が長く続くわけではないというのは、今の日本人はとてもよくわかっている。
でもそれが日常であってほしいと切実に思うし、願っている。

私の見たのは夕暮れのひとときだけれども、違う現象として表される
「火球」というタイトルを、この人形にはつけました。
(本来火球は、もっと瞬くような光を放って観察されるものです。)

激しさと優しさと。
その2つがつながるように、願いを込めて名付けました。
私達は守られている。
そうあってほしいと思うのは、私があまりに楽観的過ぎるのかもしれません。
ごめんなさい。

美しい絹糸と、美しいシルク布を使って
少しでも見上げる空が輝いてみえるのならば。

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スズキ@羊毛倉庫

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  • 羊毛とフェルティングニードルで
    人形を作るための、メイキング・ブログ。
    羊毛工作人のスズキが、
    たま~にご案内いたします。

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