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個展の人形・その3

  • 2015/10/29 17:58
  • Category: works
私は素材を提供してくれている人に、とても感謝しています。
それは手芸店だけではなく、古布商・雑貨屋・紙店・ホームセンターから古書店も含めて
果ては浜辺に漂着する流木や道に落ちている小枝まで、とても幅が広いのですが
手にした素材がイメージを妄執させることが、本当によくあるのです。

自分の中にいつも無数のアイデアがある、というわけでは決してなく
ひとつの素材から広がる場合が多々あります。
それが幾重にも重なるならば、なおのこと。

この、星のプリントが入ったベルベット生地を、ふさわしい夜の形にしよう。
そう思いました。

bn_1.jpg

「美しい夜」

写真ではわかりにくいのですが、星の形にラメプリントされた生地を
たっぷりとギャザーを入れたコートにしました。

bn_2.jpg

ビーズ屋で見つけたスモーキーなパールは、その「美しい夜」にふさわしかったので
布を買ったその日に入手しました。

衣装の参考にしたのは、古書店で見つけた中世ヨーロッパの資料で
布とビーズが眠る頭の中で、普段行かない本屋へ行って見つけたものでした。

重なりあった必然の中で、当たり前のように形は生まれてくる。
そんなふうに自分自身とは別のものから、私の人形は出来上がっています。
これを感謝なくして考えることは、難しいのです。

個展の人形・その2

  • 2015/10/27 20:23
  • Category: works
私は、とてもツバメが好きです。

タイシルクのダーツがかかった布を見て、必ずツバメのドレスを作れると確信し、
その子が羽ばたくために履くブーツのカカトは、ケミカルウッドを削りだしで誂えました。

tubameg_2.jpg

より詳細に言うならば、営巣するツバメが飛び交う姿を、毎年楽しみにしているのです。

tubameg_3.jpg

縦横無尽に空を切る、小さな存在。
ピヨピヨと親の姿を見れば夜昼と無く響く、ひな鳥の鳴き声とクチバシ。

大好きなのに、とても後悔している過去がある。
アスファルトの端っこでその亡骸を確認したのに、土へと葬ってあげる余裕が無かったこと。
ごめんなさい、と何度も何度も振り返るあの小さな亡骸。

ひな鳥たちには、遠くまで羽ばたいて欲しい。どこまでも。

tubameg_1.jpg

丸の内丸善でどうぞ

  • 2015/04/14 09:07
  • Category: works
明日4月15日(水)〜21日(火)まで、東京駅北口にあるオアゾ内、丸の内丸善
4階のギャラリーで、恒例の創作人形展「春」が開催されます。

私は新作1点、旧作1点を展示・販売する予定です。

oni_1.jpg

『雷神』
ループの可愛いパステルレインボーな毛糸を見て、鬼の頭髪にすればよく似合うだろうと手に取る。
はて?なぜに鬼だったのか、今思うとよくわからない。

oni_4.jpg

服なんてほとんど着てないのに、サイズが大きいせいか、いつもより制作に時間がかかってしまう。
4月だもの、しょうがないか。

oni_3.jpg

太鼓は樹脂を切り出して中身をくり抜き、本皮をあてがった。指で弾くとポコポコ音がする。
鬼の子は雷神として見習いの身分なので、この可愛い太鼓で練習をする。

oni_2.jpg

最近は雨ばかりなので、この子の練習もはかどりそう。

たくさんの素晴らしい作家さんが参加される展示会です。
ぜひご来場お願いいたします。

教室展での新作

  • 2014/11/29 13:27
  • Category: works
いやー、なんとか間に合った。

生徒さんみんな、とても苦労して「日本の話」というテーマに取り組んでいました。
私も自分なりに考えて、今まで見たことのない扉を開けてみたいと思いました。

mouko_2.jpg

『蒙古襲来絵詞』

有名な鎌倉時代の絵巻。元寇で九州の御家人・竹崎季長(すえなが)が
防戦した様子を指示して絵に表したもの。(→サラリーを上げてもらうためだとか。)

「てつはう」の文字がチャームポイントとなって、教科書に長年使用されてきましたが
実はこの箇所が江戸時代ぐらいの贋作が継いであることがわかってきました。

mouko_1.jpg

”ここに字を書いて爆発させていると、きっと可愛くて高く売れるよ”と
後世の商売人が付け足したのに、本当に関心してしまいます。
その萌えポイントは平成の今でも同じです。

大阪に持って行くね。
どうぞご来場ください。初日は16時ごろまで在廊しております。



上野動物園のポスターに採用していただきました

  • 2014/11/26 19:35
  • Category: works
西荻窪での3人展も無事終わりました。ご来場くださったみなさま、ありがとうございました!
影山さんとふたりでしみじみと片付けをしながら、「こんなふうな展示は、もうきっとできないね」と。
やっぱり自分たちでつくり上げる展示は、ものすごくエネルギーが要るから・・・
もっと在廊したかったなー、来ていただいたみなさんとお話がしたかったです。

***

話が変わりますが。
私が東京に引っ越しをした当初、行きたいところがいくつかありました。
まずは日本のどこよりも早く映画が上映される、渋谷のミニシアター。
そして、上野動物園!当時、日本で動物の行動展示の最先端を見られることと
やはり飼育する動物のキャパシティが広くて感動しました。

その後も何度となく上野動物園に足を運び、子どもが生まれてからも一緒に通い
迷子になった息子を事務所で預かっていただいた恥ずかしい記憶もあります。

作家として活動するようになってから(特に近年は)、作りたい動物を観察するために
ひとりで仕事の前に1時間だけ寄っていくこともありました。

そうしてたくさんお世話になった思い出の多い上野動物園の、2014年冬のポスターに
羊毛倉庫の作った羊の人形を使っていただきました。

上野駅公園口を降りて目の前の信号を渡るとすぐ、さっそくポスターが見えます。

uenozoo_2.jpg

上野公園をまっすぐ直進する合間にも、掲示されています。

uenozoo_1.jpg

uenozoo_3.jpg

もちろん上野動物園ゲート付近や、園内の立看などにも使用されています。
あとは都内公共の施設や上野の美術館・博物館にも掲示されます。

そして、園内には無料で持ち帰られるポストカードも。

uenozoo_4.jpg

↑これ、デザインはもちろん紙質もこだわりがあって、とてもオシャレです。
11月30日から始まる大阪の教室展では、ポスターを貼って
ポストカードもお持ち帰りいただけるようにしますね。

このポスターに使用していただいた羊さんを、12月16日(火)〜2015年1月18日(日)
まで上野動物園の西園・子ども動物園にある「まがりや」にて展示していただきます。

寒い冬でも園内は休憩できる場所が多いし、爬虫類館は温帯植物もあって温かいので
ぜひご来場ください!

TOP TEN HITSの人形は:その5

  • 2014/11/22 22:00
  • Category: works
今回の展示最後の人形です。

tths_10.jpg

「パラダイス銀河」
1988年/光GENJI

光GENJIが登場したとき、あまりにもその存在が唐突過ぎてどう考えていいのかわからなかったのよね。
派手な衣装で頭にバンダナ、ローラースケートでステージをグルグルまわって
メンバーの顔すら覚えることば難しかった。

好きになれないまま忘れていたら、映画『嫌われ松子の一生』で人生に見捨てられた松子が
最後に見出した希望の星として光GENJIが登場したので二度目のビックリ。

子どもを産んで30過ぎてから「ガラスの十代」をラジオで聞いて、三度目のビックリ。
ものすごいアイドル萌えを感じてしまいました。
夢と元気と若さにあふれた歌と、最高のオケ。
パラダイス銀河では”しゃかりきコロンブス”という斬新な言葉の発明もありました。

あの元気なかんじを、とにかく出したくて。
どうでしょう、ピチピチしてますか?

tths_11.jpg


*******

「TOP TEN HITS」
参加作家:うえのえみ・影山多栄子・羊毛倉庫
◎11月20日(木)〜25日(火)
◎東京・西荻窪Gallery MADOにて
◎11時〜18時(最終日は16時まで)

TOP TEN HITSの人形は:その4

  • 2014/11/21 22:00
  • Category: works
気がつけば、今回テーマにした曲で唯一の女性ボーカル。
でも、何よりもまず彼女の歌は絶対に作ろうと思っていたんだけど。

tths_3.jpg

「赤いスィートピー」
1982年/松田聖子

今思うと、聖子ちゃんたったひとりが”アイドルは超歌がうまくてもいい”という門をくぐった。
与えられた「カワイコブリッコ」という最高のキャラクタと楽曲と、彼女自身の実力と輝き。
男を夢中にさせる手練をキラキラしながら歌う眩しい曲に、目が眩む。

tths_4.jpg

「男の人のこんなとこがカワイイよね」とときめく彼女の歌は
ほんとは幻覚のような恋愛世界で、かえって男性への信頼が揺るぎが無いような気もする。

影のある中森明菜ちゃんのほうが、ずっとずっと好きでよく鼻歌うたっていたけど
ああもう、ほんとに、聖子ちゃんは最高過ぎるんだよな。

TOP TEN HITSの人形は:その3

  • 2014/11/20 22:00
  • Category: works
「ああ、果てしない 夢を追い続け
 ああ、いつの日か 大空駆け巡る」

ツインボーカルが異様にも男らしい、クリスタルキング。
ヒット曲『大都会』で田中昌之の抜けるような高音の歌声が冴え渡った。

華は無いけど、とにかく上手い。そして「RUN AWAY!」と歌う負け犬ソング。
70〜80年代の負け犬って、金で測れないものを持つ優しさの象徴だったように思う。

tths_5.jpg

かっこ良すぎないのが、かっこよかったんだよね。

tths_7.jpg

「朝焼け、静かに空を染めて」

tths_6.jpg

今回の展示は作家が必ずひとつ、ステージを作るという宿題をつけた。
一番ステージに立たせたいのは、クリスタルキングしか思い当たらなかった。

”やっぱり二人いればよかったのにな”とこの人形を見ながら夫がつぶやく。
そうだとは思うけど、二人分のつもりで作ったから根こそぎ気力を奪われちゃったよ。
さあ、飛び立っておくれ。

「大都会」
1979年/クリスタルキング


*******

「TOP TEN HITS」
参加作家:うえのえみ・影山多栄子・羊毛倉庫
◎11月20日(木)〜25日(火)
◎東京・西荻窪Gallery MADOにて
◎11時〜18時(最終日は16時まで)

TOP TEN HITSの人形は:その2

  • 2014/11/19 22:00
  • Category: works
小林旭って、知ってる?
実は私、彼のことをよく知りません。映画も見たことがない。
テレビでこの人が歌っているのを見て、小さくてスッキリしたおじさんなのに
とても恐ろしいように感じました。
でもその怖い人が歌う曲が、本当に素晴らしくて。
この曲を聞くと世界中の自然の景色が頭のなかをめぐるのです。

tths_2.jpg

「熱き心に」
1985年/小林旭

鼻が痛くなるほどの極北の寒さや、岩山のシルエットに星々の影、沼と草の影に潜む虫の声。
人を想うから熱いのか、自分の生自体が熱いのか。

”ら”音がみごとに巻き舌で歌われていて、やっぱりこの人はおっかない。


*******

「TOP TEN HITS」
参加作家:うえのえみ・影山多栄子・羊毛倉庫
◎11月20日(木)〜25日(火)
◎東京・西荻窪Gallery MADOにて
◎11時〜18時(最終日は16時まで)

TOP TEN HITSの人形は:その1

  • 2014/11/18 22:08
  • Category: works
さて明日搬入ですが、まだまだ作業ちゅうー。
もうほんと、こういうのって、どうにもならない。

今回の展示は昔の歌謡曲がテーマなのですが、さて、大人になってからいざ
80年代の名曲を聴くと、こんなに意味が違ってくるものなのかと思いました。
なんの曲をモチーフにしようかと午前中にYouTubeを開いたが最後、夕方には
サブちゃんの「祭」を聞いている始末。(しかもノリノリで。)

手始めに作ったのは、DMに写真のあったこの女の子。

tths_1.jpg

「冬のリビエラ」
1982年/森進一

当時子どもだった私は、この歌も歌手も好きではなかったし
嫌な男の歌詞だな、という感想は今も変わらない。
それでも尚この歌は素敵だし、大瀧詠一バージョンのサラサラした歌い方よりも
森進一のほうが、皮膚に残った指の跡のように感情が溶け残る。

”アメリカの貨物船が 桟橋で待ってるよ”というフレーズが
白と灰色でできた波止場に立つ少女の像をストンと落としていきました。

この曲をテーマに選んだことが、今回一番の自分・再発見!ポイントであります。


*******

「TOP TEN HITS」
参加作家:うえのえみ・影山多栄子・羊毛倉庫
◎11月20日(木)〜25日(火)
◎東京・西荻窪Gallery MADOにて
◎11時〜18時(最終日は16時まで)

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